まいこーmemog

生きづらいとき人の言葉で生き返るので,自分も言葉にしてみる.[memo+blog]

立ち飲み屋でイカしたおじさんに出会った

昨日,フィリピン人の友人の京都ツアーをガイドした話を書いた.

僕と大学の友人Aの2人で,フィリピンからの友人(エリック)を迎えた.

maikocho.hatenablog.com

 

ガイド中のコミュニケーションについては昨日の記事の通りだが,

今回はそこで出会ったおじさんが,イケイケだったことへの感動を書こうと思う.

 

ガイドではひとつ,決め事をしていた.

それは,観光名所ではなく自分の好きなところを1つは紹介すること.

京都は基本,名所だらけなので今回は夜の立ち飲み屋を紹介すると決めた.

 

立ち飲み屋の前を通ると,調子の良いおじさんが出てきて

「おぉ,ちょうど若いもんに来てほしかってん.寄ってき寄ってき」

と声をかけてきた.(ちなみにこのおじさんは,この話の主人公ではない.)

 

これを待ってたんです.

 

いきなり楽しいモードに入り,のれんをくぐる.

カウンターとテーブル,奥には座りの席も少しあるようだが狭くて見えない.

僕たちは店内中央あたりの,メニューで隣と仕切られたテーブル席についた.

僕と友人Aが並び,向かいにエリックという位置関係だ.

 

ドリンクと少しのつまみを注文し,拙い英語で料理の説明をしたり,

今日の旅や,彼の向こうでの仕事などの話をして,しばらく経った.

 

ひととおり話して,すこし落ち着いた頃,

「お兄ちゃんは日本人やんなぁ?」

おじさんは友人Aを指して,こんな風に話しかけてきた.

おじさんは僕の対面,エリックの隣に立っていた.

 

おじさんは僕のことも海外の人だと思っていたらしかったので,

「いや,僕も日本人ですよ!」

というと驚いた顔をしていた.

 

立ち飲み屋でこんな風に,横の席の人と話すのを待っていたことを伝えると,

「仕切りのメニュー後ろに移して!今からここは1つの空間な.」

とおじさん.和気あいあいと会話が始まった.

 

話を聞くと,おじさんは過去に8年間,中国で仕事をしていたらしい.

向こうで言葉が通じず,現地の人に助けてもらいながら何とか生活をしたそうだ.

最終的には単語を並べて,最低限コミュニケーションができたという.

 

日本に帰ってからも,立ち飲み屋さんやいろんなところで,

コミュニケーションを大事にしているらしい.

そんな背景で,おじさんは外国人に日本を楽しんで欲しいのだという.

 

「いっぱい日本のこと知って欲しいし,楽しんで欲しいやん.

あれや,お節介おじさんやねん.」

と笑うおじさん.なんてかっこいいんだろうか.

 

英語は中学英語ほどしかできないと豪語するおじさんは,

果敢にエリックに話しかけていた.単語を並べ,伝わるまでなんども話した.

エリックもすごく楽しそうだ.ゆっくりと話そうとしている.

 

このとき,あぁこれがコミュニケーションだ,と実感した.

TOEICもなにも,本当に必要ではないかもしれない.

少なくとも,僕が欲しいのはこんな風に交流を楽しめる力だった.

 

おじさんは僕と友人Aにこう語ってくれた.

 

「やっぱりな,TOEIC満点ですとか,そんな奴は会社に一定数おるんや.

でも,TOEICの点数は低いけど,誰とでもコミュニケーション取れますってやつがおったらそいつの方が面白いやろ?

 

わしも中国で大変やったけど,単語とジェスチャーとかで何とかなった.

聞き取れんかっても,10回でも20回でも話そうとするんが大事や.

それがコミュニケーションってことやと思うねん.」

 

 

僕たちは,日本人がいる環境で英語を話すのは何だか恥ずかしいと感じてしまう.

しかし,必要とあらば,いや日本人だけでも英語で話すものいいと思う.

完璧でなくても,単語だけでも,必死にお互いの言葉を理解しようとする.

こんな経験は,すごく貴重じゃないだろうか?僕は大好きだ.

 

お店を出る前,おじさんはこう言ってくれた.

「平日は大概おるわ,またおいでや.」

 

もちろんです.イカしたおじさん.